親の入居で実家が空き家になったら|管理・活用・売却の進め方

介護と住まい・お金

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親の入居や入院で、実家が空き家になったとき

親が施設に入居したり、入院したりして、住む人のいなくなった実家。「これからどうすればいいのか」と、戸惑う方は少なくありません。

介護に伴って実家が空き家になることは、多くの家庭が直面する現実的な課題です。

慌てて結論を出す必要はありませんが、放っておくと、かえって選択肢が狭まってしまうこともあります。

この記事では、実家が空き家になったときに知っておきたい手順と選択肢を、中立の立場で実直にまとめました。

まず、現状を確認することから

最初に取り組みたいのは、実家の現状を把握することです。

  • 建物や設備の傷み具合、雨漏りやシロアリなどの有無
  • 家の名義が誰になっているか(親本人か、すでに相続されているか)
  • 固定資産税や、光熱費などの支払いの状況
  • 権利証や契約書など、重要な書類の保管場所

これらを整理しておくと、その後の判断がぐっとしやすくなります。とくに名義の確認は、あとの手続きに関わる大切な出発点です。

空き家を放置するとどうなるか

「とりあえずそのままに」と考えがちですが、空き家は放置するほど扱いが難しくなります。

人が住まなくなった家は、湿気や換気不足で傷みが早く進みます。庭木の繁茂やゴミの不法投棄など、近隣とのトラブルにつながることもあります。

さらに、管理が行き届かず倒壊のおそれなどがある空き家は、法律にもとづいて「特定空家」や「管理不全空家」に指定される場合があります。

指定を受けて自治体から勧告されると、土地の固定資産税が軽くなる特例から外れ、税負担が増えることがあります。放置には、思わぬコストがかかり得るのです。

指定を受けなくても、誰も住まない家に固定資産税や保険料だけがかかり続けることは、見過ごせない負担になります。

名義と相続を確認する

実家をどうするかを決める前に、家の名義をはっきりさせておく必要があります。

親が存命で、本人に判断する力がある場合は、まず本人の意思を確認することが基本です。判断が難しくなっている場合には、成年後見制度などの仕組みが関わることもあります。

すでに親が亡くなり、相続が発生している場合は、相続の手続きと、名義の変更(相続登記)が必要になります。

相続登記は義務になりました

2024年4月から、相続した不動産の名義変更である「相続登記」が義務化されました。

相続で不動産を取得したことを知った日から、原則として3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料が科される場合があります。

2024年4月より前に相続した、まだ登記していない不動産も対象で、こちらは原則として2027年3月末までが期限とされています(法務省の情報にもとづく)。

手続きは複雑になりやすいため、司法書士などの専門家に相談すると確実です。

すぐに遺産分割がまとまらない場合は、「相続人申告登記」という暫定的な手続きによって、過料を避けられる仕組みもあります。ただし、これは暫定的なもので、いずれ正式な相続登記が必要です。

相続人が複数いるときは

相続人が複数いる場合は、誰が実家を引き継ぐかを話し合って決める必要があります。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。

まとまらないままとりあえず共有名義にしておくと、あとで売却や活用をしようとしたときに、全員の同意が必要になり、手続きが難しくなりがちです。

将来の負担を減らすためにも、早めに方針を話し合い、必要に応じて司法書士など専門家の助けを借りることをおすすめします。

実家をどうするか、選択肢を整理する

実家の扱い方には、大きく次のような選択肢があります。それぞれに、向き・不向きがあります。

管理して残す

いずれ家族が住む可能性がある、あるいは思い入れがある場合は、管理を続けながら残す選択です。定期的な換気や見回りが必要で、空き家管理のサービスを利用する方もいます。

貸す(賃貸に出す)

人に貸せば、家を活かしながら家賃収入を得られます。ただし、貸せる状態にするための修繕費や、借り手が見つかるかどうかといった課題もあります。

売る(売却する)

今後使う予定がない場合は、売却して現金化する選択です。管理の手間や税負担から解放される一方、家を手放すことになります。

残す場合の、管理のポイント

当面は残すと決めた場合も、最低限の管理が欠かせません。

  • 月に一度ほど、風を通し、水道を流して設備の劣化を防ぐ
  • 郵便物をためない(不在が分かると防犯の面でも好ましくありません)
  • 庭木や雑草の手入れをして、近隣への影響を抑える
  • 遠方などで難しい場合は、空き家管理サービスの利用も検討する

火災保険が空き家でも有効かどうか、確認しておくことも大切です。人が住んでいないと、契約の扱いが変わる場合があります。

売却を考えるときの進め方

売却を選ぶ場合も、慌てて決める必要はありません。

まずは、複数の不動産会社に査定を依頼し、相場観をつかむことをおすすめします。1社だけの提示額で判断せず、比べることが大切です。

売り急いで足元を見られないためにも、各社の対応を比べ、説明が丁寧で信頼できる相手を選ぶとよいでしょう。

また、古い家がある場合は、家を残したまま売るか、解体して更地で売るかで、費用や売りやすさが変わります。どちらがよいかは、状態や地域によって異なります。

介護や相続と重なって手が回らないときは、無理をせず、信頼できる専門家の力を借りましょう。

空き家を売るときの税の特例

相続した空き家を売る場合、一定の要件を満たすと、譲渡所得(売却の利益)から最大3,000万円を差し引ける特例があります。

対象となるのは、たとえば1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家で、相続の直前に親が一人で住んでいた、といった要件を満たす場合です。売却にも期限が定められています。

要件は細かく、税制は改正されることもあります。使えるかどうかは、税理士や税務署に確認するのが確実です(国税庁の特例にもとづく)。

維持や手放しにかかる費用

実家を持ち続けるにも、手放すにも、費用がかかります。あらかじめ見通しておくと、判断しやすくなります。

持ち続ける場合は、固定資産税や火災保険料、管理の費用がかかり続けます。修繕が必要になれば、その費用も加わります。

売却する場合は、仲介手数料や、更地にするときの解体費用などがかかることがあります。金額は建物の規模や地域によって異なるため、事前に見積もりを取っておくと安心です。

親が元気なうちに、話しておく

実家のことは、親が元気なうちに話し合っておくと、後々の負担が大きく減ります。

「家をどうしたいか」という本人の希望や、権利証・通帳などの保管場所を、あらかじめ共有しておきましょう。

また、少しずつ家の片付けや生前整理を進めておくと、いざというときに慌てずに済みます。話しにくい話題ですが、早いほど選択肢が多く残ります。

家財の片付けと整理

実家を貸すにも売るにも、まずは家の中の片付けが必要になります。長く暮らした家には、多くの家財や思い出の品が残っているものです。

一度に片付けようとせず、大切なもの、迷うもの、処分するものと、少しずつ仕分けていくと進めやすくなります。

量が多い場合や時間がないときは、遺品整理・生前整理の専門業者に依頼する方法もあります。費用や作業の範囲を確認したうえで利用しましょう。

相談できる窓口

実家や空き家のことは、内容によって相談先が分かれます。

  • 名義変更・相続の手続き:司法書士
  • 税金や特例のこと:税理士、税務署
  • 売却・活用・査定:不動産会社
  • 空き家全般の相談:自治体の空き家相談窓口

介護と重なって手が回らないときは、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに、どこへ相談すべきかを尋ねてみるのもよいでしょう。

よくある例

ここでは、多くのご家庭に共通してみられる典型的な状況を、一般的な例としてご紹介します。

一つは、親の施設入居をきっかけに空き家となった実家を、当面は空き家管理サービスで維持しつつ、家族で今後の方針をゆっくり話し合った、というケースです。

もう一つは、相続を機に名義を整理し、複数の不動産会社の査定を比べたうえで、税の特例が使えるうちに売却した、という例です。

いずれも、慌てず、順を追って進めたことが、納得のいく結果につながっています。

一人で抱えず、順を追って

実家をどうするかは、介護や相続と重なり、心にも手続きにも負担のかかるテーマです。

すべてを一度に決めようとせず、まず現状を確認し、名義を整理し、それから選択肢を検討する。この順序で進めれば、落ち着いて向き合えます。

迷ったときは、専門家や自治体の窓口に相談しながら、一歩ずつ進めていきましょう。

実家は、家族にとって思い出の詰まった場所でもあります。だからこそ、感情と手続きの両面から、無理のないペースで向き合っていくことが大切です。

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本記事は空き家や相続に関する一般的な情報をまとめたものであり、個別の状況についての法律・税務上の助言を行うものではありません。制度の要件や期限、税の取り扱いは、時期や状況によって異なり、改正されることもあります。実際の手続きにあたっては、司法書士や税理士、税務署、お住まいの自治体の窓口など、専門の相談先で最新の情報をご確認ください。

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